一目置かれるスマートな返し方:反論や疑問に動じない会話術
反論や疑問、もう怖くない。一目置かれる「スマートな返し方」とは
日々のビジネス会話の中で、お客様や上司から思わぬ反論を受けたり、鋭い疑問を投げかけられたりして、一瞬言葉に詰まってしまう経験はありませんでしょうか。特に経験が浅い頃は、「うまく答えられなかったらどうしよう」「自信がないと思われたくない」といった不安から、反論や疑問に直面することを避けたいと感じる方もいるかもしれません。
しかし、こうした反論や疑問への対応こそ、あなたの真価が問われる機会です。適切に、そしてスマートに対応できれば、相手からの信頼を得て、「この人は冷静で頼りになる」と一目置かれる存在になることができます。
この記事では、ビジネスシーンで反論や疑問に動じず、スマートに対応するための具体的なステップと、すぐに使えるフレーズをご紹介します。
なぜ反論や疑問はチャンスなのか?
反論や疑問を「否定された」「攻撃された」と感じるのではなく、「相手が関心を持っている」「より深く理解しようとしている」「懸念点を解消したいと思っている」サインだと捉え直してみましょう。
これらは、会話を深め、相手の真のニーズや不安を理解するための重要なヒントです。ここで適切に対応することで、単なる情報伝達に終わらず、相手との信頼関係を一層強固にすることができます。
スマートな返し方:実践ステップ
反論や疑問に直面した際に、慌てず冷静に対応するための具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:まずは「聞く」姿勢を徹底する
相手が話し始めたら、まずは言葉を遮らず、最後までしっかりと耳を傾けてください。相手がなぜそう考えたのか、何に懸念を感じているのか、その背景を理解しようと努めることが何よりも重要です。
- 使えるフレーズ例:
- 「なるほど、〇〇ということですね。続けてお聞かせください。」
- 「△△について、そのようなご意見なのですね。」
- 「はい、承知いたしました。詳しくお聞かせいただけますでしょうか。」
ステップ2:感情的にならず、冷静さを保つ
反論や厳しい指摘を受けたとき、感情的に反応してしまうのは最も避けたい対応です。それは、相手に「冷静さに欠ける」「信頼できない」といった印象を与えてしまう可能性があるからです。
反論はあなたの人格を否定するものではなく、提案や情報の特定の部分に対する意見であると切り離して考えましょう。深呼吸をする、少し間を置くなどして、冷静さを保つことを意識してください。
ステップ3:背景を理解するための「質問」をする
相手の反論や疑問の「なぜ?」を理解することは、的確な回答をするために不可欠です。表面的な言葉だけでなく、その裏にある意図や具体的な懸念点を引き出すための質問を投げかけましょう。
- 使えるフレーズ例:
- 「差し支えなければ、そうお考えになる理由をもう少し詳しくお聞かせいただけますか?」
- 「△△について、具体的にはどのような点がご不安でしょうか?」
- 「〇〇の件ですが、どのような情報に基づいてそのように思われましたか?」
- 「他に懸念されている点はございますか?」
ステップ4:論理的に、かつ分かりやすく回答する
相手の懸念や疑問の背景を理解したら、それに対して誠実に、論理的に回答します。
- 事実に基づき、具体的に説明する: 推測ではなく、確かな情報やデータを示して説明することで、説得力が増します。
- 専門用語は避けるか、補足する: 相手の理解度に合わせ、平易な言葉で説明することを心がけてください。
- 結論から話すことを意識する: 何を伝えたいのかを最初に明確にすることで、話の全体像が掴みやすくなります。
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すぐに回答できない場合: 全てその場で回答できるとは限りません。「分からないことを分かったふりをする」のは信頼を損ねます。正直に伝え、代替案を提示しましょう。
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使えるフレーズ例(回答がすぐに難しい場合):
- 「ご質問ありがとうございます。△△の件につきましては、正確な情報をお調べして、本日の営業時間内に改めてお返事させていただいてもよろしいでしょうか?」
- 「その点については、現在確認中でございます。明日午前中にはご回答できるかと思いますが、いかがでしょうか?」
ステップ5:共通点を見出し、代替案を提示する
反論の中にも、同意できる点や共通の目的がある場合があります。全てを否定するのではなく、一度相手の意見を受け止め、「確かに〇〇という視点は重要ですね」のように共感を示しつつ、あなたの考えや代替案を提示する形で会話を進めます。
相手の懸念点を踏まえた上で、「それであれば、△△のように進めるのはいかがでしょうか?」と、新たな選択肢を提示することで、前向きな議論に繋げることができます。
ステップ6:相手の納得度を確認し、次へ繋げる
回答が終わったら、相手が納得したかどうか、懸念点が解消されたかどうかを確認します。一方的に話し終えるのではなく、相手の反応を見ながら進めることが大切です。
- 使えるフレーズ例:
- 「ここまでの説明で、△△の点についてご理解いただけましたでしょうか?」
- 「ご不安は解消されましたでしょうか?」
- 「他にご不明な点はございませんでしょうか?」
相手が納得したことを確認できたら、会話を次のステップ(例:商談の次の議題、次のアクションの確認など)に進めます。
シチュエーション別:具体的な返し方フレーズ例
いくつか具体的なシチュエーションを想定した返し方の例をご紹介します。
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【シチュエーション】お客様から「少し値段が高いね」と言われた
- NG例: 「いいえ、高くありませんよ。競合よりこれだけ優れていますから。」(頭ごなしの否定)
- スマートな返し方例:
- 「価格についてご検討いただきありがとうございます。〇〇様がおっしゃるように、△△と比較すると初期費用は少々高く感じられるかもしれません。(共感・受容)もし差し支えなければ、どのような点に『高い』と感じられましたか?(背景の質問)例えば、費用対効果や長期的なメリットについて、詳しくご説明させていただくことはできますでしょうか。(論理的回答・代替案提示)」
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【シチュエーション】上司から企画内容に厳しい指摘を受けた
- NG例: 「ですが、私はこれがベストだと思います!」(感情的な反論)
- スマートな返し方例:
- 「〇〇部長、ご指摘ありがとうございます。△△の点について、私の検討が不十分であったことを反省しております。(受容・反省)具体的に、どのような点が改善が必要でしょうか?また、〇〇部長が懸念されている背景には、どのような考えがございますか?(背景の質問)いただいたご意見を踏まえ、改めて企画を練り直し、〇日までに再提案させていただけますでしょうか。(次のアクション提示)」
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【シチュエーション】お客様から専門外の難しい質問をされた
- NG例: 「えっと、それはですね…(曖昧にごまかす)」
- スマートな返し方例:
- 「大変興味深いご質問ありがとうございます。△△の点につきましては、私自身も詳細を確認する必要がございます。(正直に伝える)不確かな情報をお伝えするわけには参りませんので、一度社に持ち帰って専門部署に確認し、〇〇様には明日午前中までに正確な情報を改めてご連絡させていただいてもよろしいでしょうか。(誠実な対応・代替案提示)」
まとめ:反論・疑問対応は信頼構築のチャンス
反論や疑問への対応は、一見難しく感じられるかもしれませんが、一つ一つのステップを丁寧に行うことで、必ずスマートに対応できるようになります。
大切なのは、相手の言葉に耳を傾け、その背景を理解しようと努め、感情的にならずに論理的に、そして誠実に回答することです。すぐに答えが出せない場合でも、その場しのぎではない、確認して後ほどきちんと回答するという姿勢を示すことが、信頼を深めることに繋がります。
今回ご紹介したステップやフレーズを参考に、ぜひ日々の会話の中で実践してみてください。経験を重ねるほど、自信を持って反論や疑問に対応できるようになり、周りから一目置かれる存在へと成長していけるはずです。あなたのビジネス会話が、より実りあるものになることを願っています。